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「お゙、お゙下品だよ、マリ゙ぃ゙……」
「セクハラする方が悪いんでしょ! 海賊の船長、ナメないでほしいわね。あんまり度が過ぎると、今度は踏み潰してあげるから」
「だっ、だぐま゙じぐ、な゙っだね゙ぇ……」
そう言い残すとマリーは沈黙した。
よほど痛かったのだろう、思わずマスケットとガゼルが縮みあがる。
ジャックはマリーが黙った事を確認すると、マスケット達の方を見る。
見た目は随分と美しくなったが、瞳の輝きは変わらなかった。
「ごめんなさい、色々面倒な事になって。ジャックからどれ位話を聞いたか知らないけど、男の私も女の私も、私は私だから。だから――」
言葉に詰まるジャック。
その深緑の瞳はうるうるに潤んでおり、今にも泣き出しそうだ。
だが彼女は涙をグッと堪えると、真っ直ぐな強い眼差しで言い切った。
「性別はちぐはぐだけど、ちゃんと着いて来て欲しいの。男としても、女としても、私、誇りを持ってこの船の船長を努めるから!」
男女の違いなどどうでもよくなるほど、彼女の目はとても力強かった。
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