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「船長が頑張ってんのは重々承知ですよ。ったく、わざわざ言わんでも俺達は着いて行きますって。ホントにあんた、純粋っていうかガキっぽいていうか……」
「ガキは余計でしょ! 子供扱いしないでほしいわね」
ジャックは頬を膨らましながら文句をたらした。
子供扱いすると怒るのは、どうやら性別が変わっても同じらしい。
いつもと変わらないジャックを垣間見て、マスケットの口元が緩んだ。
一方、むくれたジャックの機嫌を直したのはガゼルだった。
怪我をしているジャックに気を効かせ、海を眺めたいならばと、軋む木造の椅子を持ってくる。
「マスケットさんはどうするッスか? 左足怪我してるし、歩き辛そうッスけど……」
「気にすんなって。俺はこれから、ちょっと仮眠とってくっからさ。悪ィなガゼル」
そう言ってマスケットは甲板を後にする。
左足を引きずりながら歩く姿は、見ていてとても心苦しい。
「さて、ワシも書庫で暇を潰すかのぅ。生憎爺さんに肉体労働は応える」
「アタシも、海図の整理しなきゃね」
そうしてアンジェリカとアルバスも甲板から去って行く。
その場に残されたのは、ジャックとガゼル、そして悶絶して床に付しているマリーだけとなった。
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