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ハーロックの船に着く頃には、マリーの鼻血も大分止まっていた。
爽やかな美青年の顔に戻った彼を、ガゼルは内心ホッとした様子で見つめる。
いくら何でも、鼻血を垂らしたままではマヌケ過ぎてハーロック達に会えない。
船の前に着けば、案の定というべきか、予想通り何者かと呼び止められる。
ここで自分の出番だと思い、ガゼルは前に進み出た。
「オレ達ジャック海賊団の者ッス。ハーロック船長に合わせてもらえないッスか? 多分オレを見ればわかると思うんで……」
クルーにそう告げれば、ちょっと待っていろと言い渡される。
炎天下の中待っていたら、ほどなくして暑苦しい髪の毛を生やしたハーロックがやって来た。
「ご無沙汰ッス、ハーロックさん」
「お前は確か――ジャックの所のチビ助か。えっと、ガゼル? だっけか?」
「そうッス! 覚えていて下さりありがとうッスよ」
「んで、何でお前がここに居んだ? ガキ1人でここに来させるなんざ、ジャックの野郎はどうしたんだよ」
ハーロックの何気ない質問に、ガゼルは困ったように視線を動かす。
動かした視線の先にはマリー達が居て、ハーロックは2人の存在に気が付いたのだった。
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