僕らの腕は恋人の証

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(やっぱり綺麗やなあ) こんなに光っているのに どうしてか霞んで見える 途端、後悔が押し寄せた (あんなことせんで、ちゃんと祝ってれば良かった…) 霞んでたのは涙のせい それはとまることなく 零れ落ちていった 「…寿々歌?お前、なんで泣いてんねん…」 背後から大好きな彼の声 うちは慌てて リストバンドを隠した 「め…目にゴミ入ったからとってただけやで?」 なんて苦しい言い訳 すると彼は怪訝な表情を見せた 「お前、なんか隠しとるやろ。背中にあるもん…何?」 崚行はいつだって鋭い 内緒でつまみ食いした時も 悪戯を仕掛けた時も すぐに見破ってしまった (うちの言い訳が酷いって言うのもあるけど) 「な…なんも隠してへんよ?」 そんな嘘が通じる訳もなく 崚行はうちの腕を引っ張った (…どうしよう) 彼の腕につけた物と同じ キラキラ光る赤いリストバンド それを見た崚行は 目を丸くして固まっていた (そりゃ驚くよなあ) 「様子おかしい思って見にきたら…こーゆうことか」 「ごめん…崚行。その…気にせんでええから…これは弟にあげるし…」 「ううん、ありがとう。そんでごめんな、酷いこと言って。怒ってたけど…ホンマは寿々歌に祝ってもらえてすごい嬉しかった。だって、どんな形であれ、好きな子に一番にお祝いされたら嫌な訳ないやろ?」 (今…なんて言うた?) 崚行はサラッと言ったけど これは…まさか…? 「あの、それって」 「せやから!お前が…寿々歌が好き言うたやろ?ここまで分からんかったらアホや…アホ!」 彼は照れくさそうに 目を手のひらで隠している (…ホンマ?ホンマに?) 「うちも…好き。ずっとずっと崚行が好きやった」 そしてチラッと彼を見ると 「…!そんな目でみんなや…っ」 そう言って崚行は うちを自分の元へ引き寄せ ギュッと抱きしめてくれた  
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