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(アカンなあ、ホンマは喜んで欲しいのに…)
「崚行!誕生日おめでと!はい、これプレゼントだよ」
落ち込んでいると
優奈が彼の元へやってきた
「ありがとう、優奈!」
可愛くラッピングされた
女の子らしいプレゼント
その中には
赤色にキラキラ光る
リストバンドが入っていた
「…うわ!これ俺がめっちゃ欲しい言うてたヤツやん!優奈、覚えててくれたんや~。ホンマにありがとうな」
嬉しそうな崚行の顔
本当ならうちが
そんな風にさせたかった
(うちが用意してたんはビックリ箱だけじゃないよ…)
隠すように
背中に持っていった袋
それは崚行への
本当のプレゼントだった
今年こそは素直になろう、と
決めた矢先だったのに
(まさか中身も同じだなんて…渡せる訳がないやん)
好きな人が欲しい物
そんな貴重な情報を
うちが忘れる訳がなかった
「じゃ、あとで」
そう言って優奈は
うちらの元を去って行った
そこには
嬉しそうな崚行と
落ち込んだうちがいて
不思議な空気が漂っていた
「ほら、俺に似合ってへん?」
彼は早速
リストバンドをつけ、
どや顔でそう聞いてきた
(ホンマに欲しかったんや)
「よ…良かったやん!優奈はホンマに優しいなあ…」
「そうや、優奈は誰かさんと違って心から祝ってくれるし?周りにモテるのも分かるわ~」
(誰かさんって…絶対にうちのことやんか)
でも言い返せない
心から祝ってても
あんな素直じゃないなら
誤解されても仕方ないんだ
「だ…大丈夫!来年はプレゼントあげへんから!…じゃ、またあとで」
すごく惨めな気がして
一刻も早く逃げたかった
(せっかくの誕生日なのに…怒らせてごめん、崚行)
なんて、
本人に言うべきなのに
顔を見たら泣いてしまいそう
涙をグッとこらえながら
誰もいない廊下で
彼があけるはずだった
プレゼントを出してみた
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