僕らの腕は恋人の証

3/6
228人が本棚に入れています
本棚に追加
/226ページ
(アカンなあ、ホンマは喜んで欲しいのに…) 「崚行!誕生日おめでと!はい、これプレゼントだよ」 落ち込んでいると 優奈が彼の元へやってきた 「ありがとう、優奈!」 可愛くラッピングされた 女の子らしいプレゼント その中には 赤色にキラキラ光る リストバンドが入っていた 「…うわ!これ俺がめっちゃ欲しい言うてたヤツやん!優奈、覚えててくれたんや~。ホンマにありがとうな」 嬉しそうな崚行の顔 本当ならうちが そんな風にさせたかった (うちが用意してたんはビックリ箱だけじゃないよ…) 隠すように 背中に持っていった袋 それは崚行への 本当のプレゼントだった 今年こそは素直になろう、と 決めた矢先だったのに (まさか中身も同じだなんて…渡せる訳がないやん) 好きな人が欲しい物 そんな貴重な情報を うちが忘れる訳がなかった 「じゃ、あとで」 そう言って優奈は うちらの元を去って行った そこには 嬉しそうな崚行と 落ち込んだうちがいて 不思議な空気が漂っていた 「ほら、俺に似合ってへん?」 彼は早速 リストバンドをつけ、 どや顔でそう聞いてきた (ホンマに欲しかったんや) 「よ…良かったやん!優奈はホンマに優しいなあ…」 「そうや、優奈は誰かさんと違って心から祝ってくれるし?周りにモテるのも分かるわ~」 (誰かさんって…絶対にうちのことやんか) でも言い返せない 心から祝ってても あんな素直じゃないなら 誤解されても仕方ないんだ 「だ…大丈夫!来年はプレゼントあげへんから!…じゃ、またあとで」 すごく惨めな気がして 一刻も早く逃げたかった (せっかくの誕生日なのに…怒らせてごめん、崚行) なんて、 本人に言うべきなのに 顔を見たら泣いてしまいそう 涙をグッとこらえながら 誰もいない廊下で 彼があけるはずだった プレゼントを出してみた  
/226ページ

最初のコメントを投稿しよう!