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苦しさから目が覚める。
まず捉らえたのは俺の腹の上にある足…。
その主は…焔椎真。
なぜかいつも朝起きると横にいる…。
―――その気がないならそんな態度とるなよ―――
足を自分の腹の上から退けて、起こさないように支度をする。
遠間さんに挨拶をして黄昏館を出た。
今日は直接遠間さんから朝食をもらっちゃった。
焔椎真からなら無視もできたけど遠間さんから、だもんな…。
作ってもらったのはサンドイッチ。
仕方がないので学校近くの公園で一口かじる。
久しぶりの食事。
サンドイッチってこんなに美味しかったっけ、って思えるほど美味しかった。
だから全部食べちゃった。
「あ~~~~!」
後ろから聞き慣れた声がする。
振り向くとやっぱり焔椎真で…。
「朝飯、食ったのか!?」
「それがなんだよ…?」
この一言を述べただけで焔椎真は目を輝かせて抱き着いてきた。
迷惑だな…。
「お前…やっと食ってくれた…!」
「離してくれないか…?学校行かなきゃ…」
「あ、そうだよ!先行くなんてひでーよ!」
忙しい奴だな…。話題がコロコロ変わる…。
でも俺のことだから正直嬉しかったりもするんだ…。
「風紀委員の仕事があったんだからしょうがないだろ?」
「じゃあなんで仕事もせずにここで朝飯食ってたんだよ…?」
焔椎真の言葉を無視して学校に足を向けた。
早足でわざと焔椎真を置いていくようにすると子供みたいについて来る。
「愁生!待てって!」
更に加速するとやっぱり必死について来る。
可愛いな、焔椎真は。
「碓氷先輩が蓮城焔椎真と追っかけっこしてるよ//!」
「やっぱり碓氷先輩ってカッコイイよね~💓」
※愁生&焔椎真は気づいておりません
「あれ…愁生と焔椎真…」
「そうだね。何やってるんだろ…。愁生~焔椎真~!!」
十瑚が呼ぶのが聞こえて足を止めた。
いきなり止まったせいで焔椎真が俺の背中にぶつかった。
「何してたの~?」
こちらに駆けながら聞いてくる十瑚に正直に答えた。
「焔椎真イジメ」
「うわっひでー!」
「愁生は焔椎真イジメ好きだね…」
九十九が相変わらずのマイペースさでコメントを残して「十瑚ちゃん、早く行かないと予鈴鳴っちゃうよ」と十瑚の手を取って学校の門を潜(くぐ)ってしまった。
「俺達も早く行かねーと…!」
九十九と同じく焔椎真は俺の手を取って門を潜った。
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