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この物語は彼らの物語だ。彼らが何者かを伝えなければ物語というものが分からないだろう。
彼らの名は、マレビト。かつては蒼我、千晴という男女であったが、今となっては等しい存在だ。一つの肉体に二つの魂を持つと言えばいいのだろうか。
身体的特徴は、右半身が男性で左半身が女性ということだ。だがそれはあくまでも基本時であり、分裂して二人になったり、完全に男や女になったりできるという。奇怪な生き物だ。
だが、彼らはその力をもて余していた。なぜならここには誰もいない。ただ一面に広がる碧の一色だけだ。
彼らは一度世界を救った。だがその時、地上から離れすぎてしまい、帰れなくなった。
特異な身体である二人は、宇宙空間でも死ねず、気がつけばこの碧い空間にいた。
どうやらここは、俗に言う異次元らしい。どことでも繋がる場所……と言ったところだろうか……。
とにかく、呼ぶ者がいる方向へ身体を向けてみた。
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