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ザー……ザー……。
壊れたテレビのようにノイズが走る。あらゆる感覚が効かないらしい。何にも触れていないし、何も聞こえない。目には閉じたときの真っ暗な光景すら見えない。
「やぁζ(ゼータ)、期待通りなのだ!」
ややハスキーっぽい男の声が聞こえた。次第に視界が明るくなる。
目の前には、耳が隠れるほどの長さの緑色の髪をした三十代ほどの男が立っていた。白衣を着ている。医者か何かなのだろうか……。
「あの……どちら様?」
記憶に混乱が見られる……。あの後、自分はどうなったのだろうか……。
「よくぞ聞いてくれたのだぁ!我こそは学会から追放されながらも自らの信念を貫き通し奴らに復讐するべく究極の兵器を造った世紀の大・天・才!ドクター・ラァドであーる!」
かなり早口で、区切らず言ってのけた。
「俺の知り合い?」
「なぁんと!自らの創造主を知らぬとは、なんたる無知!無知とは悲劇!しかし案ずることはないのである!なぜなら無知とは即ち若さなり!若さ……ああ素晴らしい!我輩にも若さがあった。さらば青春時代、あの素晴らしい愛をもう一度!美千留、愛してるよ」
……誰だそれ。
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