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イマイチ現状が理解できない。どういうことだ……?
「俺はその、世紀の大天才の前でどうなっているんだ……?」
目の前にいる変質者的な男性、ドクターラァドに質問した。
「よくぞ聞いてくれたねだ!お前は今日から我が発明の真髄、ドクターラァド究極鋼人28号FXζ(ゼータ)・大いなる螺旋の果てにある栄光ドリル・オブ・ザ・ワールドなのだ!」
早口すぎて意味がわからない。
「つまり、お前は我が発明の最先端にして究極態なのである!貴様は天空烈(てんくうれつ)という高校生の遺体だったようだがそれに空から降ってきたドリルを繋げたのである!」
そうか……。そういうことか。あの時、切り離したロケットパンチ。両腕を合わせてドリルにしたから、それをこの身体に定着させたことで、俺の記憶を持ったなんだっけ……?ζか……。
ここまで考えてマレビトはハッとした。今、この人格は蒼我という男のものだ。もう一人、千晴という女性の人格はどうなった……?
「……」
念じてみる。
胸と尻が膨らみ、腰が締まった。
「ふぅ、ひどい目にあった」
声が高くなり、性格もまるで別人のようになった。
「ほぉ、おーおーおー!これは非常に興味深いのであーる!」
ラァドはやたらとテンションが高い。とにかく高い。
「問題ないようだ」
すぐに男性に戻った。
「ふふふ……はーっはっは!さて貴様の任務であるが天空烈を演じることから始めてほしいのである!」
まぁ当然だろうな。死体異義の疑いで逮捕されることになる。だからといって死者を蘇生するのはどうかと思うが。
「その後はこの日本のどこかにいるという少女を探すのである!」
誰だよ。範囲広すぎだろ……。というか命令聞くことを前提にツッコミを入れてる自分はなんだ……。
「名前はわからないのである!だが外見的特徴はわかるのである!」
そう言って写真を見せられた。
冗談だろ……。
その写真に写っていたのは……。
…………ゾンビだった。
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