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いやいやいやいや!!!
なにが?!と、香は思った。
ぶつぶつ何か言ってたと思ったら、今度は突然すぎる。
見開いた目で寛太郎を見たが、寛太郎はそんな香を真っ直ぐに見据えて、目を輝かせていた。
その表情は恍惚の色を見せている。
「香もイカレンジャーになろう!」
「イカレンジャー?」
「そう!!なんで今まで気付かなかったんだろ?!」
嬉しそうに寛太郎が目を細めたが、香には全く話が見えなかった。
イカレンジャー?
なんなんだろう。そのダサい名前は。
肩をつかんだままの寛太郎をなんとか落ち着かせると、2人はまた冷たい夜風の中、とりあえずタクシーを止めた。
タクシーに乗り込むと、香は寛太郎を見ずに口を開いた。
さっきの話をわかるように話なさいって。
すると、寛太郎が香の耳元に口を近づけて小声で答えた。
「明後日、バイトが休みでしょ?その日またスナックに行こう。
そこでちゃんと話すから。」
そういうと体勢を直して、香に微笑んだ。
「なんで今じゃダメなの??」
香は不審な目をして寛太郎を見た。
すると、また寛太郎が口を耳元に寄せる。
そうされると、香はなんだかくすぐったい気がした。
「運転手さんに聞かれちゃうでしょ?」
ふと見ると、バックミラー越しに運転手さんと目があった。
2人がコソコソ話しているから、怪しんでいるのかもしれないと香は思わず目を反らす。
そして、小さく頷いて納得したことを寛太郎に伝えた。
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