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タクシーは夜の中を駆け抜けて、あっという間に元町にある香の家の前に止まった。
タクシー代を払おうとすると、寛太郎がいらないよと受け取らない。
その場に香を残して、タクシーが遠ざかっていく。
寛太郎は谷地頭に住んでいた。
香の家から車なら5分くらいでつくところだ。
さっぱりわからない寛太郎の言動に、香は妙に疲れてしまった。
タクシーを見送りながら、途端に重くなった体を引きずるように玄関を開けた。
実家暮らしの香。
家の中は真っ暗で静まり返っていた。
両親は眠っているんだろう。
階段をあがり、化粧も落とさないで香は眠りにつくことにした。
服を着替えるのも面倒くさいようだ。
イカレンジャーって何?
それとスナックが何の関係があるの??
香の頭の中は、モヤモヤとしていた。
明日もバイトがあるのに、今日の話を明後日しようなんて……
香は寛太郎が何を考えているのか理解できないまま、気付かないうちに眠りに落ちていった。
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