第1話 出会いは春風に乗ってやってくる!

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タクシーは夜の中を駆け抜けて、あっという間に元町にある香の家の前に止まった。 タクシー代を払おうとすると、寛太郎がいらないよと受け取らない。 その場に香を残して、タクシーが遠ざかっていく。 寛太郎は谷地頭に住んでいた。 香の家から車なら5分くらいでつくところだ。 さっぱりわからない寛太郎の言動に、香は妙に疲れてしまった。 タクシーを見送りながら、途端に重くなった体を引きずるように玄関を開けた。 実家暮らしの香。 家の中は真っ暗で静まり返っていた。 両親は眠っているんだろう。 階段をあがり、化粧も落とさないで香は眠りにつくことにした。 服を着替えるのも面倒くさいようだ。 イカレンジャーって何? それとスナックが何の関係があるの?? 香の頭の中は、モヤモヤとしていた。 明日もバイトがあるのに、今日の話を明後日しようなんて…… 香は寛太郎が何を考えているのか理解できないまま、気付かないうちに眠りに落ちていった。
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