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ホッコリして、恥ずかしくなった香は思わず寛太郎を見た。
寛太郎が香を見て微笑んでいた。
それはどこか、わかった?とでも言いたげな表情。
僕が通っているのは、こんな風にホッコリする場所だから。って言われてるみたいに感じた。
その後も、寛太郎と常連さんらしきおじさん2人と和子さんは盛り上がっていた。
どんな話をしているのか黙って話を聞いてみた。
「先週の観た?」
「観ましたよ!レッドがカッコよくて!!やっぱり憧れますよね!!」
「あぁん?おめ、バカでねぇ?あんなガキに地球守れるわけねべや!!」
「やぁ~!!また、そういうこと言って!!」
「なによぉ?ホントのことだべや!なぁ、黒井。」
「んー。まぁ、んだな。だったって、テレビだからよ。」
「んだってさ!!貴也くんだら、なんにでも文句つけるんだもの!」
全然わからない。
地球を守るって何?
みんなお酒が進んでるし、酔っ払いの会話といわれればそれまでだが、なんだか気になってしまった。
香も酔ってるから、理解力がないのかもしれない。
「だいたいよ、おめ、考えてみれ?あんな怪人いたらニュースで大騒ぎだべや!」
「だから、それはテレビだから……」
「あんなのテレビでやるからよ、俺たちがバカにされんだべや!」
「だれも馬鹿にしてないべさ~。」
「そうだよ~。だって、他言無用でしょ?僕らのこと、誰も知らないじゃないですか~!」
「それとも、貴也さんは誰かに喋ってるんですか?」
「貴也くんそうなの?」
「ま、まさかよ!!おめ達、俺ば信用してねぇんだ?!」
“タカヤ”と呼ばれるおじさんが、焦って言うと寛太郎も和子さんも“黒井”と呼ばれた人も一息置いて爆笑した。
話が全然わからない。
僕らのこと他言無用って……何のことかわかんないけど……
それ、私がいる前で話していいことなの??
ギリギリセーフなの??
なにを他言無用かわかんないから、セーフなの??
不思議に思いながら、ただ静かに4人を見て話を聞いていた。
どうも、みんな香のことを忘れているようだ。
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