第1話 出会いは春風に乗ってやってくる!

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ホッコリして、恥ずかしくなった香は思わず寛太郎を見た。 寛太郎が香を見て微笑んでいた。 それはどこか、わかった?とでも言いたげな表情。 僕が通っているのは、こんな風にホッコリする場所だから。って言われてるみたいに感じた。 その後も、寛太郎と常連さんらしきおじさん2人と和子さんは盛り上がっていた。 どんな話をしているのか黙って話を聞いてみた。 「先週の観た?」 「観ましたよ!レッドがカッコよくて!!やっぱり憧れますよね!!」 「あぁん?おめ、バカでねぇ?あんなガキに地球守れるわけねべや!!」 「やぁ~!!また、そういうこと言って!!」 「なによぉ?ホントのことだべや!なぁ、黒井。」 「んー。まぁ、んだな。だったって、テレビだからよ。」 「んだってさ!!貴也くんだら、なんにでも文句つけるんだもの!」 全然わからない。 地球を守るって何? みんなお酒が進んでるし、酔っ払いの会話といわれればそれまでだが、なんだか気になってしまった。 香も酔ってるから、理解力がないのかもしれない。 「だいたいよ、おめ、考えてみれ?あんな怪人いたらニュースで大騒ぎだべや!」 「だから、それはテレビだから……」 「あんなのテレビでやるからよ、俺たちがバカにされんだべや!」 「だれも馬鹿にしてないべさ~。」 「そうだよ~。だって、他言無用でしょ?僕らのこと、誰も知らないじゃないですか~!」 「それとも、貴也さんは誰かに喋ってるんですか?」 「貴也くんそうなの?」 「ま、まさかよ!!おめ達、俺ば信用してねぇんだ?!」 “タカヤ”と呼ばれるおじさんが、焦って言うと寛太郎も和子さんも“黒井”と呼ばれた人も一息置いて爆笑した。 話が全然わからない。 僕らのこと他言無用って……何のことかわかんないけど…… それ、私がいる前で話していいことなの?? ギリギリセーフなの?? なにを他言無用かわかんないから、セーフなの?? 不思議に思いながら、ただ静かに4人を見て話を聞いていた。 どうも、みんな香のことを忘れているようだ。
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