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寛太郎がすごく楽しそうに話している。
香と話しているより、よっぱど楽しそうに見える。
香は寂しいけど、しかたないのかなと思って、その横顔を眺めた。
寛太郎は天然、というか、不思議くんなのだ。
普段はそんなに気にならないけど、どこか雰囲気がマッタリとして言うことがずれていたりする。
それに日曜日の朝、バイト先で顔を合わすと彼は凄まじくテンションが高くて、香はついていけなかった。
戦隊モノのファンらしくて、とにかく熱く語るのだ。
香は笑って聞いていたが、どうノッていいのかわからなくて困っていた。
それを考えると、ここまで盛り上がれるのだから楽しいだろうな。
と、そこまで思って気付いた。
あ、きっと今話してたのは戦隊モノの番組の話だったんだ!!
なるほど。
だから、タカヤさんはあんなガキに地球が守れるわけないって言ってたんだ。
うん。私もそう思うよ、タカヤさん。と、香は思った。
あんな線の細いイケメンの若者たちに、地球が守れるわけないじゃん。
で。
ふと気付いた。
みんな、見てるってことだよね?
いい歳した人たちが?
ちょっと笑えるかも。
香はみんなに気付かれないように、1人で笑ってしまった。
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