夏の夜

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花火がビルの間から、ときどき見える。 去年までは、嫌がりながらも、母と父、三人で見に来てた。 しかし、今年からは、独りで見る事になった。 別に、それを本当に望んだ訳ではなかったのに。 足が勝手に進み、何かにとりつかれたようにある場所へと向かう 私はこの一年、泣いた事は一度もなかった。 泣きたくなかったんだ。 何かに負けるような気がして…。 気がつくと、目の前には 神社があった。 そこは、古くも、新しくも見える知らない神社だったが どこか懐かしさがあった 私は、なんとも不思議な気持ちになり、足が棒になったように、ただ、呆然と空に打ち上げられた花火を見上げた。 夏、蝉の声が花火の音に掻き消された夜だった。image=331015381.jpg
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