再会。

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「まあ、何というか久し振りだな。」 と、ポリポリと頬を掻きながら会話を始める。 うん、まさかこんなに早く再会するとは思わなかった。 もう会う事も無いだろうと思っていたのに。 「ああ、久し振り。 突然で悪いが宗也、お前はこの家の主か?」 「ん? この家は師匠の家でね。 今師匠は旅に出ているから、その留守番を俺がしているんだよ。」 うん? 明らかに顔色が悪い。 どうしたのだろう。 「そうか。 邪魔したな。」 と、言うなり本当にこの家から出て行こうとするセルフィ。 慌ててその手を掴む俺。 「おいおい、どうしたんだよいきなり。 師匠に用が有るのなら、別にこの家に泊まっていったって良いんだぜ? 何も帰らずとも良いだろう。」 本当にどうしたんだろう。 どうも様子がおかしい。 「放してくれ宗也。 私は早く此処から離れなければいけないんだ。 君の師匠、黒河宗介さんがいるならともかく、旅に出ていていないなら、此処にいる訳にはいかない!」 「…………ひょっとしてそれは、お前を本当に追い詰めたヤツが関係しているのか?」 「どうしてそれを?」 「冷静になって考えれば、闇属性使いのお前が、禁呪持ちとはいえあんな男一人に追い詰められる訳が無い。 誰か別の奴と戦って、あそこまで追い詰められたんだろう?」 「…………そうだ。 吸血鬼の私の体を、怪しげな人体実験に使うために謎の組織が私を追っている。 そこのNO.3と戦い、私はあそこまで殺されかけた。 何とか手傷を負わせて逃走したが、あの火の禁呪使いが私を追ってきた。」 おいおいマジかよ。 万全の状態のこいつをああまで追い詰められる奴が、その組織には三人以上もいるのか。 どんな組織だ、それ。 「そんな組織が私を追っているんだ。 今の私も、あの時の傷が完全には癒えていない。 闇の魔力も、一度ゼロまで使い切ったから今では精々二割だ。 此処にいたら宗也を巻き込んでしまう。」 はあ。なるほどね。 それじゃあしょうがない。 「じゃあ尚更だ。 この家に住みなさい。」
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