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高速で飛んできた分反動も大きく。
メリッと良い音を立てて俺の拳は男の顔面に食い込み、男は宙を舞った。
……何かボキッて不吉な音がしたが、今はシカトしておこう。
「あいつの方が俺たちより速い以上、逃げ切れる訳もない。
戦闘不能に追い込むしかないだろう。」
と、ますます唖然とした顔をしている少女に言う。
唖然とした顔でも相変わらず美しいのが、吸血鬼なのだろうか?
と、少し頭の沸いたことを考えてしまうあたり、重症な俺。
「お前!僕の美顔を一度ならず二度までも…………!
コロスコロス殺す!
塵すら残らないまで燃やし尽くしてやる!」
またまた全身に紫の炎を纏いやがった男。
…………鼻の骨が折れているぞ。
今度は俺が少女の手を引いて走る走る。
「おい、少年!
ここで倒しておくんじゃなかったのか!?」
「いやいや、全身に炎を纏われたら手出し出来ないじゃん。」
「……………………………………!」
いや、ジト目で睨むなよ。
「ところでさ、お前魔法は何属性?」
「闇と水だ!吸血鬼は全員そうだぞ!?」
いや、俺に吸血鬼の知り合いはいないもん。
「じゃあさ、闇魔法であいつ消しちゃえば良いじゃん。」
闇属性は超強力だ。あの変態ぐらい楽勝だろう。
「もう闇の魔力は残ってない!
水も使えて上級魔法が一発だ。」
「何だ、じゃあ楽勝じゃん。
…………二人であいつを倒すぞ。」
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