転機。

11/16
前へ
/95ページ
次へ
高速で飛んできた分反動も大きく。 メリッと良い音を立てて俺の拳は男の顔面に食い込み、男は宙を舞った。 ……何かボキッて不吉な音がしたが、今はシカトしておこう。 「あいつの方が俺たちより速い以上、逃げ切れる訳もない。 戦闘不能に追い込むしかないだろう。」 と、ますます唖然とした顔をしている少女に言う。 唖然とした顔でも相変わらず美しいのが、吸血鬼なのだろうか? と、少し頭の沸いたことを考えてしまうあたり、重症な俺。 「お前!僕の美顔を一度ならず二度までも…………! コロスコロス殺す! 塵すら残らないまで燃やし尽くしてやる!」 またまた全身に紫の炎を纏いやがった男。 …………鼻の骨が折れているぞ。 今度は俺が少女の手を引いて走る走る。 「おい、少年! ここで倒しておくんじゃなかったのか!?」 「いやいや、全身に炎を纏われたら手出し出来ないじゃん。」 「……………………………………!」 いや、ジト目で睨むなよ。 「ところでさ、お前魔法は何属性?」 「闇と水だ!吸血鬼は全員そうだぞ!?」 いや、俺に吸血鬼の知り合いはいないもん。 「じゃあさ、闇魔法であいつ消しちゃえば良いじゃん。」 闇属性は超強力だ。あの変態ぐらい楽勝だろう。 「もう闇の魔力は残ってない! 水も使えて上級魔法が一発だ。」 「何だ、じゃあ楽勝じゃん。 …………二人であいつを倒すぞ。」
/95ページ

最初のコメントを投稿しよう!

835人が本棚に入れています
本棚に追加