夢についての一考察。

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俺の名前は、灯川宗也〈ヒカワソウヤ〉 今年で17歳になる、ファルツ帝国第一上級魔法学校の二年生だ。 突然で悪いが、君達には“夢”というモノがあるだろうか? いや、別に青臭い、しかも大抵は押し付けがましいだけの青春論を話すつもりはない。 俺は生まれてから今まで一度も夢を持ったことがない。 概念として理解はできるが、夢を持つ人の気持ちが分からない。 “目標”なら達成する為に努力をすれば良い。 “願望”なら自分の力で実現するだけだ。 しかし。 何故ヒトは、到底叶えられない目標、願望を“夢”だと言い張り、叶えられずとも 「今まで全力で頑張ったから、悔いは無い。」 とか笑って言えるのだろうか? 努力は必ず報われる。報われないならそれはただの“徒労”だ。 とは言え。 俺も流石に自分の考えが一般的でない事は百も承知だ。 だから俺は仮面をかぶる。 ……既に卒業後の進路も決定し、それに向けて確実にステップを踏んではいるものの。 今はまだ、“普通の学生”らしく気楽に学生生活とやらを楽しもうと思っていた。 “彼女”に出会うまでは。
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