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普段通りの朝だった。
特に清々しくもなく、運命なんて馬鹿げたモノの存在も感じない、ごくごく平凡な朝。
七時丁度に起床し、昨日の夕食の残りを温めて食べ、始業の30分前には教室に着いた。
「おはよう、灯川くん。」
「ああ、おはよう。桜木さん。」
と、唯一俺より早くクラスに来る女にしてクラスの委員長、桜木美里と挨拶をかわし。
因みに俺は副委員長である。
桜木に頼まれ、特に断る理由もなく引き受けた。
で、桜木と談笑しながら予習をすませて、だんだん登校して来たクラスメイトとも挨拶をかわす。
目立ち過ぎず、しかし確かに皆の中心に立つ。
それが俺が17年の人生から発見したベストな立ち位置である。
昔の俺は自分の優秀さを隠す事を知らなかった。
と、言うよりもむしろ自分が優秀だとは微塵も思っていなかった。
そのせいで、俺はクラスから孤立し、“出る杭は打たれる”という貴重な教訓を得た。
で、他人からの不興を買わないような優秀さ、それを演じた。
別に他者からの評価など気にならないが、ある程度の立ち位置は必要だしね。
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