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「おやおや。道理で手応えが無い訳だ。」
十分後。全てのシルバーウルフは物言わぬ骸と化していたが、俺の表情は晴れない。
まったく、俺らしくも無い初歩的なミスだ。あの違和感の正体はこれか。
この群れにはボスである体格・強さ共に一回り上の個体がいない。
道理で動きに統率がないと思ったんだ。
しかし困ったな。群れの討伐依頼は、クリアした証にボスの牙を持って帰るようになっている。
このままでは報奨金が出ない。今月はただでさえ金欠気味なのに、これは致命傷だ。
「…………探すか。」
群れがあるって事は、必ずボスがいるって事だ。しかもそう遠くでは無いはず。
得物から血を拭って歩き出す。
今月の生活費の為にも、ボスを絶対に見つけなければ。
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