悪口

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人は多く語るといってそしられ 少なく語るといってそしられ 黙っているといってそしられる そしられざる人 あることなし (インド原始仏典) あいつは喋りすぎるといわれ、ことば数が足らないといわれ、また無口でだめだといわれる。およそ人間で、悪口をいられないものはない、というのだ。 まことに、人があつまっていて、他人の批判が出ないときは少ない。何か、自分以外の人の悪口を言い合っていると、身を乗り出して、実に嬉しそうに、生き生きと喋っているのだ。 悪口は、人を自分より低く見なすところに快感がある。夫や妻のことから、近所のだれそれのこと、会社の同僚、上司や社長、芸能人から政治家にいたり、果ては国のことまで、けなしているときは、自分はその外にいるから、自分だけはもっとも正しいところにいるつもりの快感である。そして、そういう人がまた、あいつは人の悪口をいうと、陰で批判されているのだからおもしろい。 結局、何をどう語っても、だれかに何か言われるものならば、何を言われるかと心配することはない。ただ、自分が誠実に生きたかどうかだけが、大事なのだ。
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