HONEY

2/3
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
  ギターの音色が狂っていた。 あまり使ってない、ストック用のギターの話。 や、普段使ってないから別に狂ったって、管轄外というか、無頓着。 ただ、弾いた時に気持ちが悪かった。 ハイドが気付いちゃう位なんだからこれ、相当狂ってんだなと頭を掻く。 「みーーーぃ」 ペグが錆びていて、どうも保存の仕方を考え直した方が良いらしい。 と、いうかこんなギターおれ持っとったか?が最初に浴びせた言葉だったから… 今にも弦が切れて泣かれそうだ。 でも、まあ手元に今あるってことは 昔の俺がそれなりの愛着を持ってたって訳で。 それなりのご恩は返さなきゃいけないと思って、 俺の手元から消えるそのまえに だから、スタンダードに口チューニング。 ギターは?粗大ごみになるんやっけ? とことんペグが硬いのは 時間稼ぎのつもりだろうか、 そんな気がほんの少し。 「れーーーぇ」 ああ、じゃあおれが今 こうやって、ガラクタに成り下がった 玩具で遊んでるのも もしかしたら時間稼ぎをしているのかもしれない。 何かから凌いでいるのかも 何から? 生きる意味? 「けんちゃん!また仕事もロクにせんで!」 「…みつかってもーた」 退屈の穴埋めだろうか それは、最後弦が一本 切れて歌えなくなった end →後書き
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!