227人が本棚に入れています
本棚に追加
この当時は知らなかったのだが、由良さんとのトラブル…その原因は、実は新史さんだったという。詳しくはわからないが、昼ドラ並みに相当ドロドロした状況だったという噂だ。
『でも、新史は悪いヤツじゃないんだ。確かに恋愛に疎くて鈍感でどうしようもないやつだけど、…いいヤツだよ、ほんと』
『……そうですか』
千幸さんの表情から、新史さんがどれだけ『いいヤツ』なのか、互いにどれだけ思いやっているのかが垣間見えた気がしたして、温かいものが胸いっぱいに広がっていくのを感じた。
『…千幸さん、おめでとうございます』
『……。うん、ありがとう』
………。
あのときの眩しい笑顔が忘れられない。
…千幸さんは、本当に笑顔が素敵な人だった。
だから、彼女がもう一度笑える日が来ることを、七瀬は心から祈ったのだった。
最初のコメントを投稿しよう!