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だって千幸さん、彼氏できたって……やっと恋が叶って幸せだって、そう言ってたのに……なのに……!
千幸さんのはにかむ顔が脳裏に浮かんで、消えた。
思わず取り乱しそうになり、自分自身を落ち着かせるために一度深呼吸をした。
……皮肉にも涙は零れてこない。
信じられないのだ。
俺はこの目で千幸さんの亡骸を見たわけじゃない。
この目で確かめるまで、俺は千幸さんが死んだとは思わない。
噂に流されるな。これは『まだ』噂に過ぎない。
今は、その情報がガセであることを信じよう。
……大丈夫、千幸さんは強いんだから……。
と、その時、ひとりの女性が慌てて駆けてきて、野次馬を掻き分けながら何かを叫んでいる姿が目に入った。
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