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そう、これはおそらく事件。
そしてたぶん殺人事件。
まだ断定はできないが、こんな平々凡々な町でまさか殺人事件が起こるなんて誰も思わなかっただろう。
職員会議が充分に行われていなかったためか、広瀬も少し頼りなさげに戸惑いながら話を進める。
広瀬の話を要約すると、それについての目撃情報や、なんでもいいから知っていることを教えてほしい、というものだった。
何人かが「怪しい人物を見た」と言って手を挙げたが、どれも見当違いのようで、広瀬もわずかに落胆していた。
事件が起こったのは日曜日。何か目撃証言があってもよさそうだと不思議に思った。
しかしよくよく思い出してみると、俺が昼寝している間――つまり事件の前は雨が降っていたような気がする。
偶然なのか犯人の計画なのかは知らないが、うまくやったものだなと溜め息が出る。
そして広瀬は「身の回りには十二分に気を付けろ」ということと、今日は連絡網で言った通り半日授業であることを連絡すると、そそくさと朝会を終えて去っていった。
直後、一気に教室が騒がしくなったが、その後のことは省略しよう。
問題は帰宅したあとに起こった。
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