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「安西七瀬さんですよね?」
「そう……ですけど……」
「私、堀田(ほった)署の者ですが、藤堂新史さんが殺害された件について少しお話をうかがえますか?」
息をつく間も与えず、淡々と用件を述べる中年の男性。俺はその迫力に押されて「あぁ……はい」と頷くしかなかった。
何も後ろめたいことはしていないはずなのに、警察という言葉に身じろぎしてしまう。
ちなみに「堀田」とは、雛桜町の隣にある城下町「堀田市」のこと。数年前の合併ラッシュで大きくなった市のひとつだ。
雛桜とは違って、色んな施設やオシャレな店、病院、陸上自衛隊の基地などがある。
雛桜町にあるのは交番だけで、堀田と雛桜の一部は堀田署の管轄なのだ。
……って有璃が言ってた。
(刑事二人が家に来るなんて、有璃が聞いたら絶対に羨ましがるよな)
遠くで有璃のくしゃみが聞こえた気がしたが、気にしない気にしない。
俺は道を空けると、二人を家の中へ招き入れた。
「外は寒いから難でしょう。どうぞ、あがってください」
「あぁすいません、お邪魔します」
二人は俺に軽く会釈をすると、家の中へあがっていった。
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