FILE.1「疑惑」

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「藤堂くんもフェンシング部だったの? 藤堂、新史くん」 「いえ、新史さんは違います」 「何部だったのかな」 「さぁ……」 「仁藤さんは?」 「バレー部でした。もう引退しましたけど……」 「二人とも、3年生だったもんね」 「…………」 風が吹くように、ふと、千幸さんの姿が脳裏に浮かんだ。 楽しそうに話す千幸さん。学校ですれ違った千幸さん。笑ってる顔も、泣いてる顔も……。 「……どうかしましたか?」 中年の男が顔を覗く。……視線が鋭い。 俺はなんでもない、と慌てて首を振って、千幸さんの残像を掻き消した。 やはり警察には、遺族のこととか、悲しんでる人のこととか、関係ないのだろうか……。 「安西さん、二人とは仲が良かったんですか?」 「えっと……、千幸さんとは小さい頃からよく遊んでもらってました」 「藤堂くんとは?」 「あまり話したことはないです。ただ、千幸さんや愛美から名前を聞く程度で……」 「仁藤さんから?」 .
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