FILE.1「疑惑」

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「静かにしろ。声デカイ」 「すみません……でも、タナベさん……」 帰ったはずの二人の声がわずかに聞こえた。 どうやら、あの中年の男性は「タナベ」というらしい。 (なんの話だろう) 悪いとわかっていながらも「聞きたい」という衝動に負け、俺は玄関の戸に近づき耳を澄ませた。 「ヨコヤマぁ、人を外見で判断するなとあれほど言っただろうがぁ」 「でも彼女は……七瀬ちゃんは人を殺めるような子じゃないと思います……!」 俺が、…………人を殺す? かなりの小声で話す二人の会話に、俺はさらに神経を集中させる。 「あ、いや、俺もそう思いたいんだけどな? ……出ちまったんだよ、指紋が」 .
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