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「静かにしろ。声デカイ」
「すみません……でも、タナベさん……」
帰ったはずの二人の声がわずかに聞こえた。
どうやら、あの中年の男性は「タナベ」というらしい。
(なんの話だろう)
悪いとわかっていながらも「聞きたい」という衝動に負け、俺は玄関の戸に近づき耳を澄ませた。
「ヨコヤマぁ、人を外見で判断するなとあれほど言っただろうがぁ」
「でも彼女は……七瀬ちゃんは人を殺めるような子じゃないと思います……!」
俺が、…………人を殺す?
かなりの小声で話す二人の会話に、俺はさらに神経を集中させる。
「あ、いや、俺もそう思いたいんだけどな? ……出ちまったんだよ、指紋が」
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