FILE.1「疑惑」

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愛美たち、今日は静かだな。いつもならうるさいくらい馬鹿笑いしてるのに……。 俺はわずかに聞こえる会話に耳を澄ませながら歩みを進める。 「――七瀬……し……、……らし……」 「でも七――……、わからな……」 俺の名前があがっているのを怪訝に思いながら、廊下の角を曲がる。 俺のクラス――2年3組のホームベースは、この突き当たりにある。 角を曲がると同時に、窓際に集まって話している愛美たちの姿が見えた。どうやら俺には気づいていないらしい。 「なんだ、みんな集まってんじゃん。俺だけ仲間外れかよ」 独り言を呟いて口をとがらせる。 ――まさか陰口? 少しだけ不安が過ったが、まだこちらに気づかないようなので、俺はあえて呑気を装って話し掛けることにした。 「おーい、みんなで何話してんのー?」 「っ?!!」 ――瞬間、愛美たちが一斉に振り向く。 「……え?」 .
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