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愛美たち、今日は静かだな。いつもならうるさいくらい馬鹿笑いしてるのに……。
俺はわずかに聞こえる会話に耳を澄ませながら歩みを進める。
「――七瀬……し……、……らし……」
「でも七――……、わからな……」
俺の名前があがっているのを怪訝に思いながら、廊下の角を曲がる。
俺のクラス――2年3組のホームベースは、この突き当たりにある。
角を曲がると同時に、窓際に集まって話している愛美たちの姿が見えた。どうやら俺には気づいていないらしい。
「なんだ、みんな集まってんじゃん。俺だけ仲間外れかよ」
独り言を呟いて口をとがらせる。
――まさか陰口?
少しだけ不安が過ったが、まだこちらに気づかないようなので、俺はあえて呑気を装って話し掛けることにした。
「おーい、みんなで何話してんのー?」
「っ?!!」
――瞬間、愛美たちが一斉に振り向く。
「……え?」
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