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とある雪国にぽつんとある小さな町――雛桜町(ひなざくらまち)。
都会とも田舎ともつかない中途半端なその町は、特に観光などで目立っているわけでもない。
しかし、夏の田園風景が綺麗で、空気がおいしい。
比較的親切な人が多く、港にある火力発電所のお陰で税金が安かったりするのがこの町の良いところだ。
そんな小さな町には、蔵戸(くらど)、鶴笠(つるがさ)、蓮原(はすばら)の3つの小学校と、その3校の卒業生からなる雛桜中学校がある。
…2月下旬。
雛桜中は他の学校よりも一足早く卒業式が行われるため、クラスの女子たちは卒業する憧れの先輩について想いを巡らせていた。
………こいつらを除いて。
「やっぱりみんな卒業生のことで頭がいっぱいだねぇ」
「はぁ…ウチも青春したい~…」
「大丈夫、君たちには二次元的な素晴らしい素質が五万とあ―――ぐはっ?!」
「誰もそんなこと聞いとらんわ!!」
俺は、頭の上に蝶々が舞っているその大馬鹿に回し蹴りをくれてやった。
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