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振り向いたまま固まってしまったみんなの目が驚愕に見開かれている。
――空気が変わった。
これはたぶん、聞き込みをされたときにも感じた。デジャヴというものか。
それにしても、俺が突然来ただけでこんなに驚くだろうか。これはどちらかというと、聞かれてはいけない話を聞かれたときの――
「あ、な、七瀬? ……あはは、びっくりしたー!」
「あぁ七瀬ちゃん、おはよ」
「おぉ~、生きてたか七瀬ー!」
みんなはいつものように笑いながら挨拶を返す。しかし、途端に苦笑いで誤魔化すと、みんな気まずそうに押し黙ってしまった。
……何、今の。
「……ねえ、あのさ、」
――なんの話をしてたの?
続く言葉を紡ぎだそうとした瞬間、詩織と実波の鋭い視線に気付く。
「――っ」
俺は一瞬、慄然とするが、その視線は俺に向けられたものではなかった。
「ちょっと実波~、何で犯罪者とつるんでるの?」
その声に振り返ると、制服を派手に着崩した長髪の少女と数名の取り巻きが、こちらに嘲るような視線を送っていた。
そして、詩織と実波の表情がより一層嫌悪に染まっていく。
「……どういう意味だよ、アヤ」
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