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アヤの取り巻き集団の隅にちょこんと立っていたおさげの子が、静かに口を開いた。
名前は……玲奈(れいな)だったか。
雰囲気に流されてターゲットを罵るわけでもなく、ただじっと集団の隅で、自分の存在を透明化させているような静かな子。
(アヤたちみたいな派手な集団、この子には似合わないと思うんだけど……。なんで一緒にいるんだろう)
「どういうことだよ、玲奈」
怒りのあまり肩で息をする実波に振り返り、玲奈はか細い声で話し始めた。
「私、七瀬ちゃんの家の前で刑事が話してるのを聞いたの。蔵戸の事件の凶器から、七瀬ちゃんの指紋だけが出たって……」
「えっ……?」
実波も、愛美たちも、野次馬も、玲奈の一言に目を見開く。唯一、俺だけが小さく溜め息をついた。
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