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偽善とか、自分に酔ってかっこつけてるわけじゃない。これは現実問題なんだ。だから――
「七瀬ちゃんさぁ、…オレらのこと何だと思ってんの?」
その声にみんなの視線が一斉に集まる。
沈黙を破ったのは、不機嫌そうに問い掛ける実波だった。
確かに、味方になってくれなくても平気だと思っていたけど、ここまで露骨に嫌がられると…あはは、…結構応えるなぁ………。
突き刺さるような孤独感が喉を詰まらせて、また少しだけ視界が霞む。
……でもこれでいい。俺が我慢すれば、誰も巻き込まないで済む――。
「俺らはさ、飽くまで友達でしょ? …もっと頼ってよ。迷惑掛け合えるのは友達の特権なんだからさ」
「え…?」
予想とは全く違った言葉を掛けられて、一瞬、意味が理解できずに、俺はそっぽを向いて頭を掻く実波に振り向いたまま固まってしまった。
すると、実波の後ろから愛美が歩み出て、俺にいたずらっぽく微笑んでみせた。
「もし七瀬を見捨てる気なら、ここまで追っかけてこないって。…ねっ?」
愛美の問い掛けにみんなが頷く。……なんの躊躇いもなく。
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