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「――うん」
実波は詩織と一緒にみんなの背中を追い掛ける。
…でも、この二人のやり取りと秘められた悲しい想いを、俺は知らない。
――そして、終焉へのカウントダウンは既に始まっていた。
◆
翌日、俺は学校を休んだ。
…確かに先日の件で学校に行きづらいのもあったが、毎年恒例のインフルエンザやら風邪やらの影響で少し熱っぽいのもあって、念のため欠席したのだ。
「七瀬、具合はどう?」
朝、食卓に顔を出すと、母がせわしなく朝食の準備をしながら問い掛ける。
「うん…なんか一晩寝たらケロッと治っちゃったみたい」
それを聞いてあからさまに呆れ顔をする母に、俺は笑って誤魔化してから食卓につく。
…今日は土曜日。父はもう仕事に出掛けたみたいで、食卓には祖母がちょこんと座っていた。
「……七瀬ちゃん、…姫宮さんのとこの娘さんと喧嘩したんだって?」
挨拶もそこそこに、祖母は咎めるように俺に問い掛ける。
もしかして…先日のことか? あれは喧嘩というよりも、あっちが一方的に言ってきたんだけど…。
「…知らない」
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