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俺は苛立ちを露にして吐き捨てる。…しかし、祖母は尚もしつこく食い下がるのだった。
「でも噂になってるんだよ、七瀬ちゃんと姫宮さんの娘さんが喧嘩したって。それに七瀬ちゃんが警察の人に疑われてるって噂も――」
ガタンッ!
母は乱暴に茶碗を置いて祖母の言葉を遮った。
「お祖母ちゃん、そういう話はやめてください」
「なんね渚さん、茶碗はそんなに乱暴に置くもんじゃないよ。それに、あの事件が起きたとき、渚さんが家に居てくれればこんな噂は立たなかったんだよ」
「すみません、あのとき私は夕飯の買い物があったので」
「そのせいで英一もさぞや窮屈な思いをしているだろうねぇ…。私も窮屈で惨めで情けなくて…みんなになんて言ったらいいか……」
「七瀬が犯罪者みたいな言い方しないでください」
「大体、渚さんがいつも――」
「もういい、ごちそうさまッッ!!!」
「あっ――七瀬、ご飯はいいの?!」
俺はわざとらしく音を立てながら乱暴に席を立つと、返事もせずにすたすたと自分の部屋へ戻った。
……なんでお婆ちゃんまでそんなこと言うんだよ…ああッ、イライラするッ!!
痛みも気にせず激しく頭を掻き毟る。
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