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そして、話題がころころ変わったり変な方向へ脱線するのは俺らのひとつの特徴でもある。そこら辺はあしからず。 「きのう広瀬が着てた服、むっちゃウケたんだけど!」 「あはは、『P』でしょ?」 広瀬とは、俺ら2年3組の担任だ。そいつが昨日着てきた服というのが、黒の生地に黄色い『P』という文字でかでかとプリントされたタートルだったのだ。 広瀬は以前から、細すぎる体型や長い髪や白すぎる肌から『幽霊』とからかわれてきたが、今回の一件で『ぴろせ』とうあだ名が付いてしまい、…なんというか…つくづく哀れな人だ。 作者的には、化粧を工夫してその細身を生かせば充分エレガントになれるはずなのだが…。 「Pって何の頭文字だろ?」 「プーさん?」 「プリン?」 「ぷりてぃー・きゅーてぃー・びゅーちふる?」 「いや、そこは食べ物繋がりでピロリ菌と言うべきだ」 「食べちゃだめ!」 みんなが真剣に悩む中、ぼそり、と詩織が呟く。
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