227人が本棚に入れています
本棚に追加
◆
「あっはは! 面白い先生だねぇ!」
母・渚はぴろせの話を聞くなり、からからと笑い出した。
「私も昔は先生に変なあだ名つけてからかってたなぁ」
そう遠い目をしながら、母は煮物に箸を伸ばす。
「案外、昔と変わらないんだな」
父・英一は呟くと、ビールをぐいっとあおり飲んだ。
「それに比べて七瀬は変わったなぁ…。昔は一緒に風呂に入ってくれたのに…」
父は目頭を押さえてううっ、と泣き真似をする。…大丈夫、あんたは昔から変わってないよ。
「ったく…俺も子供じゃないんだからさぁ…そりゃ当然でしょ」
「あんたはまだまだ子供です。…それと、女の子なんだからちゃんと『私』って言いなさい」
母に突っ込まれてうっ、と言葉につまる。ちっ、墓穴を掘ったか。
俺ははぐらかそうとご飯を口いっぱいに放り込んだ。
「ん…そういえば、お祖母ちゃんは?」
最初のコメントを投稿しよう!