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「姉貴……」
「お姉ちゃん……」
メイコと二人でため息をつく。
酒乱の姉貴の手の届くところに酒をおいた俺の責任でもあるので、ほってはおけない。
それにKAITOさんは俺の恋人、KAIKOのお兄さんだ。
毎度の如く媚を売るとするか。
「姉貴。ほら、離してやれ。」
二人に近づき姉貴をKAITOさんから引き剥がそうとする。
姉貴の力はすごいが男の俺が負けるわけにはいかない。
引き剥がされれば不服そうな顔をする姉貴を黙らせるため、新しい酒を渡す。
「あ、ありがとう、めーくん…死ぬとこだったよ。」
力なく笑うこの優男に姉貴は好意を抱いている。
もちろん姉貴は素直じゃないから思いなんか伝えられるわけがない。
それどころかいつも怒鳴りつけている。
それでも姉貴のもとへくる彼もきっと姉貴に好意を抱いているに違いない。
違いないのに、互いに思いを伝えられないでいるし互いの思いに気づいてもいない。
もどかしい関係だ。
「いやいや、ホントすんません。姉貴酒が入るとすぐKAITOさんに甘えるんで。」
あれが甘えといえるのかはわからないがとりあえずそう言えば聞こえはいいだろう。
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