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何も言わないので未来はふくれてしまい、次に会う時は新しいヒールを履いてきた。
もちろん、海人は気づいている。
だがあえて言わない。
すると未来はまたもふくれて今日はそのまま帰ってしまった。
そんな未来に慌てて海人は携帯で連絡をとる。
こんなことは初めてなのだ。
あまりにいじめすぎたか?
ふられるか?
そんな不安を抱きつつ海人は未来に電話をかけた。
すると未来は、出ていきなり、か細い声で言った。
「ちゃんと、見てて…私、どこか行っちゃうよ?」
「ばか、どこかに行くなんてないよ。ちゃんと、見てるから。前髪を巻いてきたのも、今日新しいヒールを履いてきたのも、本当は全部知ってる。ちょっと意地悪しすぎちゃったな。」
海人がゆっくり、一言ずつ丁寧にすべてを伝えると未来の声はいきなり明るくなり、また会いたいと言った。
そんな未来を愛らしく思いつつ当然OKした海人はるんるんと鼻歌を歌いながらプリンやシュークリームなどを買いにケーキ屋に寄った。
今から迎えにいく彼だけのお姫様に振る舞うための甘いモノを買いに。
そしてまたいつものように彼女の我儘に答える。
それが海人の幸せなのだ。
そんな愛の形も、なんだか素敵である。
わーるどいずまいん END.
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