10人が本棚に入れています
本棚に追加
ミクの水色の美しい髪と水槽の水色が重なって、薄暗い館内でもミクは輝いていた。
笑顔で自分に話しかけるミクに見とれ、ほとんど魚なんて見ていなかった。
そしてスナメリを見ていた時、ミクは少し悲しげな顔をしたのをレンは見逃さなかった。
「ミクねぇ、どうしたの?」
レンが心配して優しい声色で問いかければミクはゆっくりと口を開き
普段の明るさからは到底想像できないような悲しげな声で言った。
「私、ね。生まれ変わったら、スナメリになりたいの。いや、イルカでも魚でもなんでもいい、広い海で自由に泳げるような、そんな一生がいいの。」
ミクは悲しげに言えば、厚いガラスに触れた。
ガラスの向こうのスナメリはすいすいと泳いでいた。
「だけど、この子たちも可哀想。広い海じゃなくてこんな狭い水槽の中にいるんだから。見世物にされて、私と同じ。」
レンは信じられなかった。
ミクがそんな風に思っていたなんて、と。
だが、レンはぐっと一回拳を握るとまた手をゆっくりほどいてそのまま勢いでミクを抱き締めた。
(うわわ、何やってんだろ…!)
最初のコメントを投稿しよう!