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「冗談、冗談!」
青年は笑いながら言った。冗談と聞いてポストンも笑う。
だが、ポストンの方は目が笑っていない。
「お前が言うと冗談に聞こえないっての……」
「ハハハッ!なんだよ、ポストンビビりすぎ!」
だが、ポストンが冗談に聞こえないのにも根拠があった。
過去にも数回、彼のこのような『冗談』を聞いたことがある。
『樹海へ通いつめてる。』『樹海で刀を拾った。』
どれもこれも最初は笑っていたが、結局は事実だった。
それに、彼はこの近くの村で現在の目的地でもある漁村『ロミナーズ』。
そのロミナーズで最強の腕っぷしを持っている。だからといってクマを倒せるとは限らない。
が、確率がないとも言いきれないのが彼の怖いところである。
そもそも、彼には『恐怖』という感情がないのだろう。
大人が恐れるものだろうと、彼の怪物的好奇心の前には意味を成さない。
ポストンは小さい頃からの仲ではあるが、いつかずっと遠くへ行ってしまうのではないかと予測している。
「そういや、昨日、虎ってのを初めて見たよ!!!強かった~~~!!!」
…………あるいは既にポストンと彼は別次元の人間なのかもしれない。
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