プロローグ

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 とある一軒家の一室。  小さな少女が一人、目の前の男女二人を凝視していた。 「――お父さん……お母さん……」  壁や床、天井が真っ赤な血で塗られてる。  そしてその中心で、血まみれで倒れている両親の姿。 「目を開けて……あたしを一人にしないで……」  少女は震えた声で血まみれの両親に話しかけている。だがすでに事切れている両親は、何も喋らない。 「お父さん……! お母さん!」  涙に濡れた顔で少女は両親に手を伸ばす。 「――いやあぁぁぁあああ……っ!!」  だが血で濡れていた両親の手が少女の手から滑り、少女はその手を掴むことが出来なかった。
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