2章 侵入…

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「…早く行こう…。」 「お前が言うな!」 拓郎と浩平、哲哉の声が揃った。 たかしが泥だらけになった服を見て気持ち悪そうにしている。 積み上げられた石の壁を見上げると、 ちょうど野球部の部室が見えた。 その下に頭を下げれば通れるくらい大きな水路がある。 この水路は校庭の水捌け用の水路だ。 哲哉が下に落ちてるロープを拾うといっきに駆け上がった。 「ブー落ちんなよー。」 と言いながら学校の柵に結び付け、 水路の中に入って行った。 「ブーは泥だらけだから最後!」 言いながら美幸と麻衣が上がり、 たかしも続いてよじ登った。 全員水路に入ると哲哉がにやけながら言った。 「落ちなかったなー。」 みんなちょっと期待してたみたいだ。 水路の奥を見ると右側が少し明るくなっている。 20メートルくらい先がL字に曲がってて、 4、5歩で行き止まり、 その上が鉄網のフタになっていて月明かりが入り込んでいる。
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