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「真広、揺するの止めてやれ」
俺がそう言うと真広は驚いた顔をして俺を見る。
「えっ船酔いの時って背中さするんじゃないの?」
聖也の背中をさすり……揺すりながら俺に言う。
いやいや真広。それは吐きそうな時じゃないのか?
もし船酔いの時、背中をさするんだとしてもお前がしているのは『さする』じゃなくて『揺する』だぞ。
「そーかもしんねぇけど、一旦止めろって」
真広は「そこまで言うなら」と言いながら聖也を揺するのを止める。
少しの間苦しそうにしていた聖也だが、俺の方を見上げて何かを呟いてから海に顔を向けた。
それからしばらくすると船旅が終わり、目的の無人島に到着した。
俺達は卒業記念に無人島でサバイバルをしようと聖也が言い出したのでこの無人島に向かっていたのだ。
サバイバルと言っても食べ物も持って来ているし、携帯電話などもあるので安全だ。
床に膝を着いている聖也を起こして、俺達は無人島に降りた。
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