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古い木造アパートの前。二人の刑事が立っている。そこに近づく榎本と甲本。 二人の刑事は榎本を確認すると敬礼をした。榎本は軽く頭を下げて、すぐに状況を確認する。 「相原は中か?」 「はい、外には出ていません。」 「ごくろうさん。じゃあ、あんたらは外を頼む。」 二人の刑事は黙ってうなずくと迅速にアパートへ向かう。 榎本はドアへ向かい、二人は雨戸が閉まった窓へ。甲本は両者が見える所で待機する。 「相原さん。すいません、相原さん、居ますか?」 榎本はノックしながら言った。 「榎本と申します。本日隣に越して来た者で、ご挨拶に伺ったんですけど。」 榎本は慣れた口調で嘘をつく。しかし中からは何の返事もない。 「相原さん。いないんですか?入りますよ!いいですね!」 榎本はドアノブを回した。予想通りカギが掛っている。 かなり老朽化したドア。榎本は思いきりドアを引いた。すると簡単にドアの蝶番が壊れ、ドアごと外れた。
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