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ヨーコは一瞬でコージの表情を観察する。ひくっと左の眉が動いた。動揺?わからない。でもコージは明らかに身構えた。
何もなかったかのようにヨーコは話を続ける。
「もうそろそろ手術しなければいけないって、先生が言ってたわ。」
「かなり容態は悪いんですか?」
「ええ。日本じゃ手術出来ないって。心臓の血管がどうとかで…、私頭良くないから、うまく説明できないけど…。お金…。必要なの。」
「いくらですか?」
「二千万…。凄い大金だけど…。頼めるのはあなたしかいないの…。」
「いつまで用意すれば…」
コージの表情は真剣な眼差しになっている。
「一週間…。出来れば早いほうがいい…。すぐにでも、明日でも…。ごめんなさい…。ココロが…。かわいそうで…、何とかしてあげたいの。でも、私一人じゃだめだったの。いくら頑張っても、そんな大金稼げなかった。せめて時間があれば…。」
ヨーコの頬に涙がつたう。
「わかりました…。それでは明後日。それまでに必ず用意します。それまでにそちらの準備を終えてください。すぐに出発できるように。」
「ありがとう…。」
ヨーコの目には涙が…。安堵の表情で泣いている。
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