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古い木造二階建てのアパート。今にも壊れそうな木製のドア。街灯は壊れている。 人の気配を気にしながらドアに近づく男。コージ。 誰にも見られてない事を確認し、急いでアパートの一室に入る。一階の角部屋。道路に面した部屋。防犯上決して安全とはいえない。雨戸は閉まっている。そこがコージの部屋だった。 コージは部屋に入ると押し入れに向かった。 これでいいんだ。これがやり直すチャンスなんだ。どこかでけりをつけないと、ずっと流されてしまう。 ボロボロのふすまを開けるとそこには真ん中に仕切りがあった。上段には洋服が吊され、収納ボックスが三段積まれている。下段には布団が一式置かれている。 コージは音をたてないように慎重に布団を出した。 布団を出した押し入れのスペースは板張りだ。隅に一本飛び出している釘がある。コージは慎重にそれをつまみ上げた。すると板がはずれアルミケースが顔を出した。
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