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優しさが溢れ出さんばかりに髪に触れる
蓮の手は、時雨は酷く心地がいいものだと思った。。
でも、時雨にとっては、その心地よさが、恐怖の対象でもあった。
姉や田口コウスケの死の責任感、また時雨が“復讐”と称し殺してきた人間たちがいるのに自分が幸せになっていい筈がない。
ずっと時雨は、そう思っていた。
“復讐”なんて、カッコいい言葉
使っちゃって…。
結局は私のエゴでしかないのにね…。
客観的に自分を見る度、時雨は自虐的にそう笑う。
だからずっと、後藤の言葉に聞く耳をたてる事はなかった。
どんなに心から言っても、後藤の話を聞けば自分を否定してしまう。
何よりも、自分が犯した罪を忘れてしまうと思った。
でも、進まなきゃいけない…。
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