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課長の言葉の真ん中は蓮の事なので、時雨の事を課長が“頑固”と言ったのに笑いたがったが、笑う事が出来なかった。
「…そんな事を言うために俺を呼び出したんですか?」
口を尖らせ、わざとらしく蓮は言った。
「んな訳ねぇダロ、ばぁか!!」
そう言って課長は煙草の煙を蓮の顔に吹きつけた。
「ちょっ…もう、匂いが付くじゃないですか!」
蓮は右手を顔の前で振る。
「ハッ、ついこの前まで相田とスパスパ吸ってたじゃねぇか。」
「仕方ないでしょう、嫌がるんですから」
「時雨か?」
「そうですよ…。」
拗ねたように蓮は言い、両手をスーツの
ポケットに突っ込んだ。
「ふん…。で、お前が調べてるのは、
山田リカ子っていう女だな?」
さりげなく課長は言った。
「なんで…。」
と目が落ちそうなほど目を見開き、蓮は聞いた。
再び、課長は得意気にニヤッと笑った。
「俺をなめんなよ?蓮…。」
「ちっ…。」
悔しさや喜びのようなものを混ぜ、蓮は
盛大に舌打ちをした。
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