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「このまま、見つからなければいいのに…」
蓮が空を見て呟いた。
時雨は何も言わずに呟いた蓮の横顔を見詰めた。
「でも…それだと、このままズルズルと引きずってしまうんだろうな…。」
そう言うと、にっこりと笑って蓮は時雨を見た。
「頼みがあるんだ」
「なに?」
寝転がって、枕の横にある時雨の手を蓮は握った。
「もし、君が山田リカ子に復讐をしたとしても…もし、俺が山田リカ子を捕まえたとしても…。」
そこで切って蓮が目を伏せた。
「俺から、離れないでくれないか…」
そう言った蓮の声は切羽詰まっていた。
一瞬キョトンとした時雨は、いきなり笑い出した。
「ふ…ふふ…。」
「ちょ…なにいきなり…。」
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