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『手紙読んだ?』
声音からリカ子が電話の向こうで笑っていることが容易に想像できる。
「読んだよ。…クリスマス前に会うことってできないの?」
優しく聞く時雨は、自分はこの人間が好きなんだと自己暗示をかけた。
『ごめんね、少し忙しくって…』
「でも、少しでいいから会おうよ。ほんのちょっとでいいから。…リカ子さんに会いたい…。」
『雨乃ちゃん…』
電話から小さな溜め息が聞こえた。
『私もはやく雨乃ちゃんに会いたい。でも、クリスマスになれば絶対に会えるから。それまで辛抱して、ね?』
「…わかった。」
『大丈夫よ、雨乃ちゃん。毎日、電話するし、それに…クリスマスは誰にも邪魔されないようにするから…。
あの男のことも、心配しないで。』
やはりリカ子は蓮を狙っているようだ。
『クリスマスは、うんと楽しもうね。』
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